普段から筋トレに取り組んでいる人でも、意外と見落としてしまいがちなのが握力です。
握力は前腕筋に支えられており、この前腕筋を鍛えることで握力を強化できたり、腕全体の見栄えを良くすることが期待されます。
本記事では、握力の種類や握力を鍛えるメリット、握力を効率よく鍛える筋トレメニューなどについて詳しく紹介していきます。
Contents
前腕筋とは?
前腕筋は手首から肘のあたりまでにある20種類以上の筋肉のことを指しており、握力はこの前腕筋の力のことです。
また、前腕筋は「物を投げる、握る」「手首を曲げる」「指を動かす」など、 腕を使った様々な動作において必要不可欠な筋肉でもあります。
様々なシチュエーションで使われているため、筋肉痛の起きにくい部位であり、高頻度でトレーニングに取り組めることが可能です。
握力の3つの種類

握力には3種類の力が存在します。
握力を鍛えるときは、この3種類の力の特徴を理解しておくことで、質の高いトレーニングを行うことが可能です。
クラッシュ力
一般的に握力として知られているのが「クラッシュ力」で、握力計を使って指を完全に曲げた状態で握る力のことです。
日常生活では物を握るときなど頻繁に使われており、リンゴを握りつぶすパフォーマンスではクラッシュ力が強いことの証になります。
文部科学省によると、20~30代の日本人男性の握力平均値が47~49㎏であり、自分の体重以上の握力を持っている人はほとんどいません。
ピンチ力
ピンチ力は指を伸ばした状態で物を持ったり、つまむときに使われる力のことです。
特徴的なのが、形の整ったものをつかむときには使われず、形の整っていないものをつかむときに使われることです。
例えば、バスケットボールを持ったり、柔道やレスリングなど相手をつかむような動作において重要な力になります。
ホールド力
ホールド力はその名の通り、掴んだものを離さない力のことです。
例えば、ハンドボールでボールを持ったまま移動するときや、体操では鉄棒や平行棒を握った状態で競技を行うときに重要な力になります。
握力を強化する4つのメリット

ここでは、握力を強化するメリットについて紹介します。具体的なメリットは以下になります。
背中や腰まわりを鍛える筋トレに役立つ
筋トレには握力が想像以上に必要であり、特に背筋や腰部の大筋群を鍛えるトレーニング種目では握力が必要不可欠です。
例えば、ダンベルやバーベルなどを握って引っ張るプル系のトレーニングをするとき、握力が弱ければ高重量を扱うことができません。
また、懸垂やデッドリフト、ベントオーバーローイングなどで鍛えたい筋肉よりも握力が先に疲れてしまい、途中で動作が止まってしまうことも多くなります。
握力を強化すると高負荷のウェイトトレーニングにも取り組むことができ、鍛えたい部位にしっかりと負荷を掛けれるようになるでしょう。
腕相撲が強くなる
腕相撲では、手首の力が強ければ強いほど有利になります。
手首を屈曲させる動作は前腕筋群がほとんどの役割を担っているため、前腕筋を鍛えることで、手首を曲げる競り合いで負けることが少なくなるでしょう。
腕全体のパワーもアップするので、腕相撲で勝てる腕を手に入れることが期待されます。
スポーツのパフォーマンスが向上する
ほとんどのスポーツにおいて、前腕筋を鍛えることで競技のパフォーマンスを高めることができます。
・テニスのグリップを握る力
・柔道の相手の道着を掴む力
・バレーボールのスナップする力
など、前腕筋の力が大きく影響する競技がほとんどです。
また、用具を使う種目も数多くあり、握力が強ければ用具を上手にコントロールすることができ、逆に握力が弱いと用具に上手く力を伝えることができません。
日常生活が楽になる
日常生活では、重い荷物や買い物袋を持ったり、タオルを絞る、瓶のフタを開けるなど、握力が関与する場面が多くあります。
握力を鍛えることでこれらのパフォーマンスが向上するので、日常生活が今までよりも楽に感じるようになるでしょう。
握力を効果的に鍛える筋トレメニュー8選
ここからは、握力を強化するのにオススメのトレーニング方法を紹介します。
トレーニングごとに動作の流れやポイント、セットの組み方について解説しているので、参考にしてみて下さい。
①ハンドグリッパー
ハンドグリッパーは握力を鍛える代表的なトレーニング方法です。
市販のハンドグリップを握るだけなので、初心者でも簡単に取り組めます。
①ハンドグリッパーを用意し、ゆっくりと握り締めていく
②限界まで握ったら、手を広げて元まで戻す
✓ポイント
・一定のペースで行う
・限界まで握ったら1秒間キープする
✓セットの組み方
「20回以上を1セット」として、3セット行う
各セットできるだけ限界まで追い込む
②指立て伏せ
通常の腕立て伏せでは手のひら全体を床につけるのに対して、指立て伏せは指のみを床につけて行います。
かなり難易度が高く上級者向けですが、上半身の筋肉や前腕を高負荷で鍛えることができます。
①両手を肩幅よりも広く開けて床に置き、通常の腕立て伏せと同じ体勢をとる
②第一関節のみが床につくように、5本指すべてを広げる
③お腹に力を入れ体を真っすぐシープした状態で、肘を曲げて上体を下ろしていく
④肘が胸の真横辺りにくるまで下ろしたら、指の力だけで上体を持ち上げていく
✓ポイント
・上体は深く下ろしていく
・身体を真っすぐキープする
・指の力だけを使う
✓セットの組み方
「10回以上を1セット」として、3セット行う
各セットできるだけ限界まで追い込む
③リストカール
リストカールはダンベルを持った状態で手首を上下に動かしていきます。
肘が固定されるため、前腕筋をピンポイントで鍛えることが可能です。
①ベンチや椅子に座り、手の平が上に向くように前腕を太ももの上に置き、ダンベルを握る
②腕を動かないように注意しながら、手首を丸めてダンベルを手のひら側に持ち上げていく
③手首を反対側に動かして、ゆっくりダンベルを元の位置まで下ろしていく
✓ポイント
・ダンベルは手首だけで持ち上げる
・ゆっくりな動作で行う
・指先までダンベルを落とす
✓セットの組み方
「20回以上を1セット」として、3セット行う
各セットできるだけ限界まで追い込む
④リバースリストカール
リバースリストカールは通常の逆バージョンで、ダンベルを順手で握って行います。
リストカールとやり方が似ているので、交互に取り組んで前腕筋を満遍なく鍛えるのがオススメです。
①ベンチや椅子に座り、ダンベルやバーベルを持つ
②手首が膝からはみ出るように、ダンベルを持った手の前腕を太ももの上に乗せる
③前腕を太ももに固定させ、手首だけでウェイトを持ち上げていく
④最大限まで持ち上げたら、その後手首が逆側に曲がるくらいまで下ろしていく
✓ポイント
・小指側の筋肉を意識する
・ゆっくりな動作で行う
・ダンベルは手首だけで持ち上げる
✓セットの組み方
「20回以上を1セット」として、3セット行う
各セットできるだけ限界まで追い込む
⑤ラジアルフレクション
ラジアルフレクションは直立した状態でダンベルを斜めに握り、手首のみを動かしていきます。
あまり知られていない種目ですが、前腕筋を効果的に鍛えることができます。
①ダンベルを持ち、肘をまっすぐ伸ばした状態にする
②手首だけでダンベルを動かしていく
③元の位置まで戻す
✓ポイント
・ダンベルは下側を持つようにする
・身体は真っすぐキープしておく
✓セットの組み方
「20回以上を1セット」として、3セット行う
各セットできるだけ限界まで追い込む
⑥ヘックスホールド
ヘックスホールドはダンベルの丸みのある部分を握り、この状態をキープするトレーニングです。
まずは軽い重量から初めて、徐々に重量を重くしたり、キープする時間を長くすることで効果が高まります。
①ダンベルを近くに置いて、肩幅くらいに両足を開く
②ダンベルの丸みのある部分を握り、限界までキープする
✓ポイント
・両足は肩幅くらい広げておく
・指先の部分だけで握る
✓セットの組み方
「20回以上を1セット」として、3セット行う
各セットできるだけ限界まで追い込む
⑦バーベルホールド
バーベルホールドはバーベルを握った状態をキープするというシンプルなトレーニングです。
高重量を扱うので後半になるにつれてキツくなりますが、ホールド力を大幅に強化することが期待されます。
①足元にバーベルを置き、両脚を肩幅くらいに開ける
②バーを順手で握り、腕を伸ばして真っすぐ立つ
③限界までその状態をキープする
✓ポイント
・とにかくキープする
・腕はだらんと自然に下げておく
✓セットの組み方
「60秒以上を1セット」として、3セット行う
各セットできるだけ限界まで追い込む
⑧ピンチグリップ
ピンチグリップは同じサイズのプレートを2枚用意し、それを指先でつまんで持ち続けるトレーニング種目です。
ハンドグリッパーよりもはるかに重い重量を扱えるため、ピンチ力を強化するのにオススメです。
①床にある2つの同じサイズのプレートを、親指が一つのプレートに、その他の指がもう一つのプレートに触れるように掴む
②2つのプレートを合わせたまま、ずれて落ちないように床から持ち上げる
③腰の前まで持ち上げて、およそ30秒間つかんで耐える
④プレートを下ろす
✓ポイント
・両足は適度に開いておく
・手の平で握らず指先でしっかりとつまむ
・最初は軽めのプレートを使用する
✓セットの組み方
「60秒以上を1セット」として、3セット行う
各セットできるだけ限界まで追い込む
まとめ
今回は、握力を鍛えるのにオススメのトレーニング方法を紹介しました。
握力を強化することで高重量の筋トレに取り組めたり、スポーツ全般のパフォーマンス向上に繋がります。
自分に合ったトレーニングを選んで、前腕筋を効率よく鍛えていきましょう。
・クラッシュ力
・ピンチ力
・ホールド力