ベンチプレスは大胸筋や三角筋、上腕三頭筋など上半身の筋肉を満遍なく鍛えることができ、ほとんどの方が筋トレメニューに取り入れています。
「ベンチに寝転がってバーを上に押し上げる」というシンプルな動きで行うため、簡単にできると思われがちです。
しかし、正しいフォームで取り組まないと大胸筋に効かせることが非常に難しく、また怪我をするリスクも高くなる種目でもあります。
本記事では、ベンチプレスの正しいやり方や最短で100㎏を持ち上げる方法、ベンチプレスのバリエーション種目などについて詳しく紹介していきます。
Contents
ベンチプレスで鍛えられる筋肉
まずは、ベンチプレスで鍛えられる筋肉の特徴や働きについて紹介します。鍛えられる筋肉は以下になります。
大胸筋
ベンチプレスでメインに鍛えられるのが、胸の筋肉である大胸筋です。
大胸筋は左右の胸を全体的に覆っており、上半身の中では三角筋の次に大きい筋肉です。
いわゆる「胸板」にあたる部位であるため、鍛えることで胸板が厚くなり、真横から見たときに逞しい印象を与えます。
三角筋
三角筋は肩関節を覆っている筋肉であり、前部・中部・後部の3つの部分で構成されています。
バーベルを持ち上げるときに負荷がかかりますが、肩に効きすぎると痛める恐れがあるので、注意が必要です。
三角筋をしっかりと鍛えると肩に厚みが生まれて、肩幅を広くすることが可能です。
上腕三頭筋、前腕筋
上腕三頭筋は力こぶを形成している上腕二頭筋の裏側にあり、いわゆる二の腕の部分になります。
上腕三頭筋は腕の筋肉の中でも最も大きく、腕全体の3分の2を占めています。そのため、腕を効率よく太くしたい場合は、上腕三頭筋を優先して鍛えるのが効果的です。
また、バーベルを握って安定させるために前腕の筋肉も同時に鍛えられるため、前腕が逞しくなることも期待されます。
ベンチプレスの効果

次に、ベンチプレスを行うことで得られる効果について紹介します。具体的な効果は以下の通りです。
上半身が逞しくなる
ベンチプレスは上記でも紹介したように、大胸筋をメインに、三角筋や上腕三頭筋を満遍なく鍛えることができます。
ベンチプレスを続けるとこれらの筋肉が発達するため、男らしく逞しい上半身を手に入れることが期待されます。
特に、大胸筋は大きな面積を有しており、皮下脂肪がもともと少ない部位であるため、すぐに変化が現れて筋トレのモチベーションも高まるでしょう。
成長ホルモンが多く分泌される
筋トレを行うと体内で成長ホルモンが分泌されますが、大きい筋肉を鍛えるほど分泌量が増えていきます。
成長ホルモンには、
など様々な働きがあり、ベンチプレスを行うと成長ホルモンを大量に分泌させることが可能です。
成長ホルモンの分泌を妨げないためにも、ストレスを極力避けて、過度な飲酒も控えるようにしましょう。
基礎代謝が向上する
基礎代謝とは何もしなくても消費されるエネルギーのことであり、筋肉の大きさと比例して大きくなります。
ベンチプレスは大胸筋・三角筋・上腕三頭筋という、上半身のトップ3の大きい筋肉を鍛えることができるため、基礎代謝が大幅に向上します。
基礎代謝が上がると脂肪がエネルギーに分解されやすくなり、太りにくく痩せやすい身体を手に入れることができます。
ベンチプレスの正しいやり方
ここではトレーニング動画を参考に、ベンチプレスの動作の流れやセットの組み方について解説します。
①フラットベンチに仰向けに寝転がる
②手幅が肩幅の1.5倍になるように、両手でバーを握る
③肩甲骨を寄せて、胸をしっかりと張る
④ラックからバーベルを外す
⑤肘を曲げて、バーを乳首辺りに向けて下ろしていく
⑥胸につく直前まで下ろしたら、曲線を描くようにバーを持ち上げる
ベンチプレスは以上の動作を繰り返します。
1セット目はフォームの確認をしたり、メインセットで最大限の筋力を発揮させるために、疲労が残らない程度に筋肉を慣らします。
2~3セット目はかなり重い重量を使い、ターゲットとする筋肉を限界まで追い込みます。
セット間はインターバルを1分30秒~2分ほどとり、水分を補給したり、呼吸を整えましょう。
ベンチプレスの効果を高める4つのポイント
続いて、ベンチプレスの効果を最大限高めるポイントについて紹介します。ポイントは以下の通りです。
肩甲骨を寄せる
ベンチプレスを行うときは、肩甲骨を内側に寄せることが大切です。
肩甲骨を寄せることで胸をしっかりと張れるようになり、大胸筋に効かせやすくなります。
動作中は肩をすくませないように肩甲骨を寄せて、大胸筋が伸縮されているのを感じながらバーベルを上下させましょう。
バーは乳首辺りに下ろす
バーベルは両乳首を結んだライン上に落とすように意識しましょう。
脚側に落とすと肘の力をバーベルに伝えることができなくなり、バーを支えきれなくなってしまいます。反対に、肩側に落とすと三角筋に負荷が逃げるため、大胸筋を追い込めずに効果が半減します。
しっかりと大胸筋に刺激を与えるためにも、バーベルは乳首辺りを目安に下ろしましょう。
肘を伸ばしきらない
バーベルを持ち上げていくときは、肘を完全に伸ばしきらないように注意してください。
肘を伸ばしきると肘に大きな負担がかかり、痛める原因となります。また、肘がロックされて次の動作に移ることも難しくなります。
肘が伸びきる直前でバーを持ち上げるのを止めて、そこから下ろすことでスムーズな動作で取り組めます。
両足をしっかりと踏ん張る
両足をしっかりと地面につけて踏ん張ることで、下半身の力をバーベルに伝えることができます。
高重量のバーベルを扱う場合でも、バーを安定して持ち上げることができるため、大胸筋に負荷をかけやすくなります。
手首を反らせない
手首は常に真っすぐ維持して、反らせないように注意しましょう。
手首を反らせてしまうと手首の力をバーベルに届けることができず、安定した動作で取り組めなくなります。また、手首への負担が大きくなり手首を痛める原因にもなります。
指側でバーを握ると手首が曲がりやすくなるので、親指の付け根あたりにバーを乗せて、手のひら全体で押すように持ち上げることがポイントです。
最短でベンチプレスを100㎏持ち上げる方法

「ベンチプレスを100㎏持ち上げられる」というのは、筋トレを始めた方の多くが目標としていることでしょう。
ここでは、ベンチプレスを100㎏持ち上げるための具体的な方法を3つ紹介します。
正しいフォームで行う
ベンチプレスでより重い重量を持ち上げるためには、正しいフォームで行うことが何よりも重要です。
両足でしっかりと踏ん張り、手首を真っすぐに保ち、胸をしっかりと張ることで、下半身の力をバーベルを持つ腕に届けることができます。
これにより、高重量のバーベルを安定させて挙上させることができたり、怪我の予防にも繋がります。
毎日ベンチプレスを行わない
初心者の多くに見られるのが、毎日同じ筋トレメニューをこなしていることです。
一見、短期間でベンチプレス100㎏を達成できそうですが、毎日ベンチプレスを行うと筋肉が回復する時間がなり、筋力が伸びなくなります。
オーバーワークを引き起こし、逆に筋肉が減ってしまい恐れもあります。筋肉が回復する時間は部位にもよりますが、
・大胸筋→48時間
・三角筋→48時間
・上腕三頭筋→48時間
・広背筋→72時間
・大腿四頭筋→72時間
・ハムストリングス→72時間
・腹筋→24時間
が目安であるので、ベンチプレスは3日に1回の頻度で取り組むのがオススメです。
ベンチプレスを行わない日は、しっかりと食事や睡眠をとり、筋肉を完全に回復させるように過ごしましょう。
体重を増やす
ベンチプレスの重量を伸ばすためには、体重をどんどん増やしていくのも効果的です。
ウェイトトレーニングは質量保存の法則が成り立っているため、体重が重い人はより重いバーベルを持ち上げられる傾向があります。
体重を増やすためには炭水化物をたくさん食べるのも一つの方法ですが、脂肪が様々な場所についてしまい、関節の可動域が狭くなって筋肉に負荷をかけにくくなります。
体重を正しく増やすためにも、タンパク質をメインの食事をとり、若干オーバーカロリーになるように調整しましょう。
ベンチプレスのバリエーション種目4選
最後に、ベンチプレスのバリエーション種目を紹介します。
それぞれで鍛えらえる部位や効果が異なるので、通常のやり方に慣れてきたらチャレンジしてみて下さい。
①インクラインベンチプレス
インクラインベンチプレスは斜めに角度をつけたベンチに座り、頭の位置を高くした状態で行うバリエーションです。
大胸筋の上部を集中して鍛えることができ、ここが発達することで胸元がより厚くなります。
①インクラインベンチを30~45度に調整する
②ベンチに仰向けに座り、バーベルを肩幅の1.5倍くらいの手幅で握る
③肩甲骨を寄せて、胸をしっかりと張る
④バーをラックから外す
⑤肘を曲げて、バーベルを鎖骨の少し上に下ろしていく
⑥胸につく直前まで下ろしたら、元の位置までバーベルを持ち上げていく
✓ポイント
・鎖骨に向けてバーを下ろす
・胸をしっかりと張る
・手首を反らせない
②デクラインベンチプレス
デクラインベンチプレスは腹筋台などを使い、頭の位置を低くした状態で行うバリエーションです。
腹筋代がなくても、フラットベンチの上でお尻を高く上げて行うという方法もあります。
大胸筋の下部を鍛えるのに効果的で、大胸筋と腹筋の間の段差を際立たせることができます。
①フラットベンチに仰向けに寝転がる
②肩幅の1.5倍くらいの手幅でバーを握る
③肩甲骨を寄せて、胸をしっかりと張る
④両足をベンチに乗せてお尻を浮かし、体を一直線にキープする
⑤ラックからバーを外し、みぞおちの少し上にバーを下ろしていく
⑥胸につく直前まで下ろしたら、元の位置までバーベルを持ち上げていく
✓ポイント
・脇を閉じるように押し出す
・体を常に真っすぐ維持する
・軽めの重量で行う
③スミスマシンベンチプレス
ほとんどのジムに置いてあるスミスマシンを使って行うこともできます。
バーベルの軌道が固定されているため、重い重量でも安定したフォームで持ち上げることができ、大胸筋にしっかりと負荷をかけることができます。
手首をひねればすぐにラックオンできるというメリットもあるので、特に筋トレ初心者や女性におすすめです。
①フラットベンチに仰向けに寝転がる
②肩幅の1.5倍くらいの手幅でバーを握る
③肩甲骨を寄せて、胸をしっかりと張る
④手首をひねってラックからバーを外す
⑤肘を曲げて、乳首辺りにバーを下ろしていく
⑥胸につく直前まで下ろしたら、元の位置までバーベルを持ち上げていく
✓ポイント
・肘を伸ばしきらない
・胸をしっかりと張る
・両足で地面を踏ん張る
④ナローベンチプレス
ナローベンチプレスは狭い手幅でバーベルを握って行うことで、上腕三頭筋を高負荷で鍛えることができます。
また、トップポジションで大胸筋がより収縮されるため、大胸筋の中央部も鍛えることが可能です。
ただし、ナローベンチプレスは肘に負担がかかりやすいので、「低重量×高回数」で行うのがおすすめです。
①バーベルが顎の下にくるように、ベンチに仰向けに寝転がる
②肩幅よりも狭い手幅でバーを握る
③肘を曲げて、腹筋の上側にバーを下ろしていく
④肘を十分に曲げるまで下ろしたら、元の位置までバーベルを持ち上げていく
✓ポイント
・手幅をかなり狭くする
・肘を伸ばし器ならない
・手首を反らさない
まとめ
今回は、ベンチプレスのやり方や効果、バリエーションについて紹介しました。
ベンチプレスは大胸筋や三角筋、上腕三頭筋を高負荷で鍛えることができ、上半身のボディメイクに欠かせない種目です。
正しいフォームを身につけて、大胸筋にしっかりと負荷をかけていきましょう。
・大胸筋
・三角筋
・上腕三頭筋、前腕筋