ハイクリーン(パワークリーン)は全身の筋肉や瞬発力を強化できるトレーニングであり、スポーツに欠かせない能力を高めることができます。
難易度が高トレーニグ非常に高いトレーニングに分類されていますが、運動能力や筋トレ種目の向上に繋がるため、多くのスポーツ選手がメニューに取り入れています。
本記事では、そんなハイクリーンの正しいやり方や効果、バリエーション種目などについて詳しく紹介していきます。
Contents
ハイクリーンの概要
ハイクリーンは床に置いてあるバーベルを、反動やジャンプ力を生かして肩に担ぐまで持ち上げるトレーニングであり、重量挙げを途中まで行うイメージです。
身体のあらゆる関節が動員されるため、下半身や肩、背中、腕、腹筋など全身の筋肉を同時に鍛えることができます。
非常に高い効果が期待されていますが、一気にバーベルを持ち上げることから怪我のリスクが高く、筋力やテクニックも必要になるので、筋トレ初心者の方がいきなりハイクリーンを行うのはおすすめしません。
まずは筋トレBIG3のベンチプレスやデッドリフト、スクワットなどで最低限の筋力をつけて、高重量のバーベルを扱うのに慣れてきたら取り組みましょう。
ハイクリーンの効果

瞬発力や連動性が高まる
ハイクリーンは床のバーベルを高い位置まで一気に持ち上げるため、瞬発的に動かなければなりません。
また、最大限の筋力を発揮するためには、体のバランスを保ちながら全身の筋肉をうまく連動させる必要もあります。
そのため、ハイクリーンで筋肉をしっかりと連動させながら瞬発的に行うことで、全身の瞬発力や連動性を高めることが可能です。
瞬発力や連動性はスポーツ競技に欠かせない能力なので、ハイクリーンを継続することでパフォーマンスの向上にも繋がります。
筋肉量が増える
筋肉を大きくする筋肥大トレーニングでは、8~12回で限界がくる重量を扱うのが一般的です。一方で、ハイクリーンは瞬発力の向上を目的としたトレーニングなので、1セットあたりの回数は4~6回がよいとされています。
4~6回程度の回数では筋肥大効果はあまりないと思われがちですが、神経系や瞬発力が大きく向上するため、間接的に筋肉の発達に貢献することになります。
実際に、高重量×低回数でハイクリーンに取り組んでいるウェイトリフターの筋肉は非常に大きく、発達しています。
ただし、あくまでも間接的に影響するだけなので、筋肥大が目的の場合は8~12回の重量を扱うようなトレーニングを優先するのが理想です。「8:2」の割合でメニューを組むとよいでしょう。
神経系が発達する
筋肉は脳から神経を通して電気信号が送られることにより、力が発揮されるという仕組みがあります。
ハイクリーンでは体の神経系も鍛えることができるので、反応速度や敏捷性などが向上することも期待されます。
太りにくい体質に変化する
上記でも述べたように、ハイクリーンでは全身の様々な筋肉を鍛えることができます。
筋肉を鍛えると基礎代謝が高まるので、全身の筋肉が鍛えられると基礎代謝が大幅に向上し、多くのカロリーが消費されるようになります。
何もしなくても脂肪が燃焼されるため、太りにくく痩せやすい身体を手に入れることができるでしょう。
筋トレのレベルが上がる
筋トレの代表的なトレーニングであるBIG3(ベンチプレス・デッドリフト・スクワット)だけでなく、その他の種目でも、体幹力が必要不可欠になります。
体幹が強ければフォームが安定するだけでなく、重い重量を扱うときでも軸がブレにくくなります。
ハイクリーンでは体のバランスを保つために体幹が鍛えられるため、継続することで強い体幹が手に入り、筋トレ種目全般のレベルアップに繋がります。
ハイクリーンの正しいやり方
ハイクリーンは以上の動作を繰り返します。
トレーニング中は正確なフォームを意識しながら、ターゲットとする筋肉にしっかり刺激を与えることが大切です。
インターバルでは水分を補給したり、呼吸を整えたりなどして、筋肉を一時的に回復させましょう。
ハイクリーンの効果を高める4つのポイント
爆発的にバーを持ち上げる
ハイクリーンは高重量のバーベルを肩の位置まで持ち上げる必要があるため、ゆっくりな動作では力を発揮できず、最後まで上げ切ることができません。
そもそもハイクリーンは瞬発力を高めるトレーニングなので、ゆっくり動かしても瞬発力を鍛えることができず、本来のトレーニング効果を十分に得られません。
最初はぎこちない動作で構いませんが、慣れてきたらバーベルを体全体で一気に力を爆発させるイメージで持ち上げ、スムーズな動作で行いましょう。
バーベルは体の近くで動かす
ハイクリーンの動作において、常に体の近くでバーベルを動かすことも重要なポイントです。
バーベルが体から離れると腰にかかる負担が大きくなるだけでなく、バーを持ち上げるためのパワーも逃げてしまいます。
スネ→膝→太ももという順番で、体に沿わせるようにバーベルを動かしましょう。
背中を丸めない
背中を丸めた状態でバーベルを持ち上げようとすると、腰に大きな負担がかかり、腰を痛めるリスクが高まります。
トレーニング中はお腹に力を入れて、常に背中を真っすぐ保つように意識しましょう。
肩でキャッチするときに膝を曲げる
バーベルを肩にキャッチしたとき、バーベルの衝撃で肩や腕などが痛くなる場合があります。
特に、肩や大胸筋上部、鎖骨周りの筋肉が少ないほどバーベルが骨に直接当たるので、より痛みを感じやすくなります。
痛みや衝撃を軽減させるためにも、バーベルを肩で受け止めると同時に膝を曲げて、クッションを作りましょう。
ハイクリーンのバリエーション種目3選
①ダンベルハイクリーン
ダンベルハイクリーンは、通常のハイクリーンをバーベルではなくダンベルで行うバリエーションです。
ダンベルは左右それぞれでウェイトが独立しているため、広い可動域で筋肉に効かせやすいというメリットがあります。
バーベルよりも扱える重量は軽くなりますが、バーベルでのハイクリーンよりも安全で怪我のリスクも低いので、筋トレ初心者の方にもおすすめできます。
✓ポイント
・目線は正面に向ける
・一気にダンベルを持ち上げる
・ダンベルは縦に握る
✓セットの組み方
6~8回で限界がくる重量を扱う
3~4セットを目安に行う
インターバルを2分~3分ほどとる
②クリーン&プレス
クリーン&プレスはハイクリーンの動作とミリタリープレスの動作を組み合わせたバリエーションです。
ハイクリーンの動作をした後に、肘を伸ばしてバーベルを高く挙上させることで、肩の筋肉でもある三角筋に刺激を与えることができます。
また、直立した状態で重いバーベルを持ち上げるときに体のバランスをとる必要があるため、これにより体幹を強化することもできます。
✓ポイント
・お腹に力を入れる
・膝を伸ばす反動を使ってバーベルを挙上させる
・なるべく頭上に高く持ち上げる
✓セットの組み方
4~6回で限界がくる重量を扱う
3~4セットを目安に行う
インターバルを3分~5分ほどとる
③クリーン&ジャーク
クリーン&ジャークはオリンピックの正式な種目として採用されており、かなり難易度が高いです。
通常のハイクリーンの動作をした後に、膝を軽く曲げて伸ばし、両足を揃えてバーベルを頭上まで持ち上げます。
上方にパワーを伝えやすいため、ウェイトリフティング種目の中で最も重い重量を扱うことができ、筋力や瞬発量をより高めることができるでしょう。
✓ポイント
・体全体の力で持ち上げる
・背中を一直線にキープする
・体に沿ってバーベルを動かす
✓セットの組み方
4~6回で限界がくる重量を扱う
3~4セットを目安に行う
インターバルを3分~5分ほどとる
ハイクリーンでスポーツに貢献できる身体を手に入れる
今回は、ハイクリーン(パワークリーン)の正しいやり方やポイントについて解説しました。
ハイクリーンは全身の筋肉だけでなく、瞬発力や連動性、神経系などを鍛えることができ、運動能力の向上や他のトレーニングのパフォーマンスアップに繋がるおすすめの種目です。
フォームが複雑で、いきなり重い重量で行うと関節を痛める恐れがあるので、徐々に重量を増やしていくのがよいでしょう。
①腰幅~肩幅くらいに両足を開き、バーベルの前に立つ
②お尻を突き出すようにしゃがみ、肩幅より少し広い手幅でバーベルを握る
③バーベルが膝あたりを通過したら、膝関節と股関節を瞬発的に伸ばし、ジャンプをするように両足を床から浮かせる
④バーベルを引き上げると同時に膝を軽く曲げ、バーの下に潜りこむようにする
⑤両肘を前方に突き出すように動かし、バーベルを肩に担ぐまで持ち上げる
⑥膝を伸ばし、最後まで立ち上がる