スナッチはウェイトを頭上まで持ち上げるトレーニングであり、全身のあらゆる筋肉を鍛えることができます。
重い重量を扱うため、難易度としては上級者レベルに分類されますが、神経系の働きを高めて競技に強い身体を手に入れることが期待されています。
本記事では、そんなスナッチの正しいやり方や効果、ポイントなどについて詳しく解説していきます。
Contents
スナッチの概要
スナッチとは床に置いてあるダンベルやバーベルなどのウェイトを、全身のバネを使って一気に頭上まで持ち上げるトレーニング種目です。
下半身や腕、肩、僧帽筋、体幹など全身のほとんどの筋肉に負荷がかかるため、全身の筋力を高めることができます。
また、バーベルを爆発的に持ち上げるには瞬発力が必要になるので、瞬発力強化にも繋がります。
瞬発力は「走る」「投げる」「飛ぶ」といった動作に欠かせない能力なので、これらの動作をメインとした競技・スポーツをしている方はメニューに取り入れるのがおすすめです。
ハイクリーン(パワークリーン)との違い
スナッチと似たトレーニング種目にハイクリーンがあり、フォームがほとんど一緒であるため、混同されやすいです。
スナッチではバーベルを頭の上まで持ち上げるのに対して、ハイクリーンは顎の下までしか持ち上げないので、バーベルをより高い位置まで上げるスナッチの方が難易度が高いと言われています。
スナッチよりもハイクリーンの方が重い重量を扱えるので、筋力や瞬発力を強化しやすいでしょう。
ともに瞬発力の強化を目的としたスピード重視のトレーニングですが、「パワークリーン=やや筋力重視」、「スナッチ=スピード重視」と覚えておくとよいでしょう。
スナッチの効果

運動能力が高まる
上記でも述べたように、スナッチでは全身の筋力や瞬発力を高めることができます。
筋力が強くなるとパワーが高まり、瞬発力が鍛えられると「走る・投げる・飛ぶ」といった動作を強化することが可能です。
テニスやサッカー、野球、サッカーなどあらゆるスポーツには瞬発力が欠かせないので、スナッチを行うと運動能力が高まり、競技のパフォーマンスアップに繋がるでしょう。
基礎代謝が向上する
スナッチには運動能力を高めるだけでなく、基礎代謝を向上させる効果もあります。
基礎代謝とは何もしなくても自然と消費されるカロリーのことであり、基礎代謝が高い人ほど脂肪が燃焼されやすいという特徴があります。
スナッチは全身の筋肉を鍛えるため、基礎代謝を効率よく高めることができ、太りにくく痩せやすい身体を手に入れることができるでしょう。
スナッチの種類と正しいやり方
①バーベルスナッチ
スナッチの一般的なやり方が、バーベルスナッチです。スナッチの中で最も高重量を扱うことができるため、筋力や瞬発力を向上させるのに効果があります。
ただし、フォームが複雑であり難易度がとても高いため、怪我をしないように気を付けてください。
✓ポイント
・身体に沿わすようにバーを動かす
・しっかり地面を蹴り上げる
・目線は常に正面に向ける
✓セットの組み方
4~6回で限界がくる重量を扱う
3~4セットを目安に行う
インターバルを3分~5分ほどとる
>>バーベルスナッチの正しいやり方|全身への負荷を高めるポイントも解説
②ダンベルスナッチ
ダンベルスナッチはバーベルスナッチよりも安全性が高いので、初心者でも取り組みやすい種目です。
そこまでフォームも複雑ではなく、一つのダンベルのみでできるので、いきなりバーベルスナッチを行うのは怖いという方は、ダンベルスナッチから始めてみるとよいでしょう。
①ダンベルを床に横向きに置き、両足を腰幅程度に広げて立つ
②お尻を突き出すようにしゃがみ、片手でダンベルを握る
③背中と腕を真っすぐ伸ばして、胸を張り、脚に沿ってダンベルを垂直に持ち上げる
④ダンベルが膝あたりを通過したら、両足で床を強く蹴って膝を曲げ、頭上まで一気に持ち上げる
⑤肘を伸ばして完全にロックさせて、頭上でダンベルをキープする
⑥膝を伸ばして、最後まで立ち上がる
⑦反対側も同じように行い、左右で1セットとする
✓ポイント
・ダンベルを持ってない手でバランスを上手くとる
・膝関節を伸ばすときの力を使う
・足からダンベルまでが一直線になるように意識する
✓セットの組み方
6~8回で限界がくる重量を扱う
2~3セットを目安に行う
インターバルを2分~3分ほどとる
>>ダンベルスナッチの正しいやり方|効果の高いバリエーションも紹介
③ケトルベルスナッチ
最後に紹介するのが、やかんのような重りであるケトルベルを使ったやり方です。
ダンベルよりもバランスをとりにくいので、体幹やインナーマッスルを効果的に鍛えることができます。
①ケトルベルを床に置き、両足を腰幅程度に広げて立つ
②お尻を突き出すようにしゃがみ、片手でケトルベルを握って浮かせる
③背中と腕を真っすぐ伸ばして、胸を張り、ケトルベルを後方に振って勢いをつけて胸の高さまで持ち上げる
④ケトルベルを体に引き寄せるように、肘から引き上げる
⑤手の上にケトルベルを乗せるように、手首を返してキャッチする
⑥肘を伸ばして完全にロックさせて、頭上でケトルベルをキープする
⑦反対側も同じように行い、左右で1セットとする
✓ポイント
・顔は正面に向けておく
・手首をグルンと返して持ち上げる
・体の後ろまでしっかりと下ろす
✓セットの組み方
6~8回で限界がくる重量を扱う
2~3セットを目安に行う
インターバルを2分~3分ほどとる
>>ケトルベルスナッチのやり方やポイント【瞬発力を短時間で強化できる筋トレ】
スナッチの効果を高める3つのポイント
全身の力を使って持ち上げる
一般的な筋トレは胸や腕の筋肉など、鍛えたい部位を意識して行うことが基本です。
しかし、スナッチは腕や肩だけの力だけだと重いバーベルを持ち上げることはできず、また関節に負担がかかって怪我をする恐れもあります。
どこか一つの筋肉を使うのではなく、脚や背中の筋力、全身のバネ、瞬発力などを上手く使いながら、バーベルを持ち上げることが大切です。
経験者に教えてもらう
スナッチはかなり難易度が高いので、筋トレ歴がある程度長い人でも、慣れるのに時間がかかるトレーニングです。
通常のトレーニングとは異なり、全身の筋肉やバネを上手に使う必要があるので、コツがいります。初心者の方は、まずはトレーナーや経験者などに教えてもらうのが理想です。
適切な重量を扱う
いきなり重い重量を使うと怪我をするリスクがあるので、まずは軽めの重量でフォームを習得することから始めましょう。
フォームが安定してきたら、次は10回程度持ち上げられる重量で行いましょう。その重量でも綺麗なフォームを保つことができれば、4~6回で限界がくるような高重量に設定してください。
一般的な筋トレは8~12回で限界がくる重さが筋肥大に効果がありますが、スナッチは瞬発力を鍛えるのに特化したトレーニングなので、5回程度で限界がくる重量がベストです。
まとめ
今回は、スナッチの正しいやり方やポイントについて紹介しました。
スナッチは瞬発力や全身の筋力を高めるのに適したトレーニングであり、一般的な筋トレよりも高重量を扱うため、かなりレベルが高いです。
いきなり重い重量ですると関節や筋肉を傷めることがあるので、まずはバーのみでフォームを作り上げることから始め、徐々に重量を増やしていくのがおすすめです。
①バーベルの下に足を置き、両足を腰幅程度に広げて立つ
②お尻を突き出すようにしゃがみ、肩幅の2倍ほどの手幅でバーベルを握る
③背中と腕を真っすぐ伸ばして、胸を張り、脚に沿ってバーベルを垂直に持ち上げる
④バーベルが膝あたりを通過したら、両足で床を強く蹴って膝を曲げ、頭上まで一気に持ち上げる
⑤肘を伸ばして完全にロックさせて、頭上でバーベルをキープする
⑥膝を伸ばして、最後まで立ち上がる